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矯正治療の考え方

骨格性不正咬合の発現過程

骨格性V級

◆ High Angle V級

この不正咬合の発現過程は、頭蓋角は小さく、それゆえ上顎骨は強く下方に成長するため上顎骨の前後径はあまり増加せず、顔面の垂直高径が著しく増加する。

これに加え上顎骨の前後径が増加しないために後方臼歯の萌出余地が不足し、ポステリアーディスクレパンシーによる垂直的高径の過剰な増加がみられ臼歯部咬合平面は水平化を示す、その結果前歯部の重篤な開咬をつくりだすことになる。

これに対して下顎は、前方回転によって機能的に咬合系に適応し、同時に前方に偏位するため下顎前突症を呈することになる。 (図1)


図1

◆ Low Angle V級

この不正咬合では、上顎骨の前後径はHigh Angle骨格ほど問題なく、下顎枝の成長と咬合高径の不調和により下顎が過剰に前方回転した結果おこる不正咬合である。 (図2)


図2

骨格性U級

◆ High Angle U級

この不正咬合の発現過程は、骨格性V級不正咬合とは逆の適応反応を見ることができる。

すなわち、頭蓋角は大きく、それゆえ上顎骨は前方に回転するように成長するため咬合高径はあまり増加せず、顔面の垂直高径も増加しない。

また、臼歯部咬合平面の水平化も起こらず、むしろ急峻となり歯列全体の近心傾斜を招き、咬合高径はさらに減少し下顎は後方に開大する。

このような環境下では、下顎は前方回転による前方への適応は不可能となり、むしろ後方回転による後方への適応によって対応することになる。

また、このような適応では咬合時の下顎頭への圧迫が強くなり下顎頭の成長が阻害されますます下顎が後退したU級の不正咬合となる。 (図3)


図3

◆ Low Angle U級

この不正咬合では、上顎骨の成長はHigh Angle骨格とほぼ同じで、臼歯部咬合平面は急傾斜を示し咬合高径は不足となる。

したがって、下顎枝の成長と咬合高径の増加との関係において不調和をきたし、咬合の機能的適応の結果、強いスピー彎曲が形成され下顎は後方位で過剰に前方回転を呈する結果となり、過蓋咬合のU級不正咬合が形成される。 (図4)


図4

矯正治療の進め方

骨格性不正咬合の垂直的治療とMEAWの応用

High angle V級骨格に対する治療では、この不正咬合の形態的特徴を生み出している顎顔面骨格全体の不調和のメカニズムを理解した上で、咬合系へのアプローチによりそのメカニズムを正常化し下顎の機能的な運動を回復することにより、顎顔面骨格の動的調和を獲得することを目的とする。

そのためには、この不正咬合の要因であるポステリアーディスクレパンシーの解消を行い、上顎大臼歯部の咬合高径を減少させ、大臼歯部の過剰な押し出し現象により水平化された咬合平面を急傾斜にすることにより不調和のメカニズムを改善させる。

MEAWの応用は、大臼歯部の整直と圧下によって干渉を取り除き、咬合高径を減少させることにより、下顎位を後方に適応させ、さらに上下顎小臼歯部の垂直的コントロールにより咬合平面を急傾斜にするよう調整を行う。 (図A-1、A-2、A-3、A-4、A-5)


図A-1

図A-2

図A-3


図A-4

図A-5

Low angle V級骨格では、上顔面高および咬合高径の増加によって下顎の機能的な過剰回転を抑制することを目的とする。

顎間距離を増加させその状態での咬合支持を確保することができれば、二次的に顎顔面の調和を回復することが期待できる。

そのためには、小臼歯部を積極的に挺出させることによって咬合高径が増加し、上顔面高の増大を促す。

さらに急傾斜な上顎大臼歯部咬合平面を水平化させる。

下顎においても、小臼歯部の積極的な挺出と大臼歯部の整直により咬合高径を増加させる。

MEAWの応用は、大臼歯部の整直によって干渉を取り除くと同時に咬合高径を増加させるために上下顎小臼歯部の挺出を積極的に行い、過剰に前方回転した下顎を開大させる。

それによって下顎位を後方に適応させ、さらに上顎の咬合平面を水平化させ咬合支持の安定を図るように調整を行う。 (図B-1、B-2、B-3、B-4、B-5)


図B-1

図B-2

図B-3


図B-4

図B-5

High angle U級骨格は、咬合再構成を行う上で最も困難な骨格タイプである。

この不正咬合は上顎臼歯部の咬合平面が急傾斜であり、下顎は常に後方位で咬合するため顎機能障害に陥りやすい。

それゆえ形態的特徴である極端な下顎遠心咬合を、顎顔面骨格全体の不調和のメカニズムとして理解し、特に上顎臼歯部咬合平面に対し積極的にアプローチすることによりそのメカニズムを正常化させ下顎の機能的な運動の回復を目的とする。

MEAWの応用は、大臼歯部の干渉を取り除き下顎の大臼歯の整直と圧下を行うとともに、咬合高径を増加させるために上下顎の小臼歯部の挺出を行う。

特に下顎の小臼歯の挺出を積極的に行い、上顎第1小臼歯の舌側咬頭近心内斜面に下顎の後方運動時のガイダンスを与えることによって後方回転している下顎位を前方に適応させる。

さらに咬合平面を水平化させるために上顎の大臼歯で積極的に挺出させ、咬合支持を安定させるように調整を行う。 (図C-1、C- 2、C-3、C-4、C-5)


図C-1

図C-2

図C-3


図C-4

図C-5

Low angle U級骨格では、不正咬合の成立過程を考慮にいれ積極的に咬合高径を増加させながら臼歯部咬合平面を水平化することによって下顎を前方に適応させ、顎関節部での適応を促す。

そのためには、生理的な下顎位の決定、および咬合高径の挙上により咬合支持の確立を行い、顎関節のcompressionの解消を行う。

適切な臼歯離開の確立のために臼歯部咬合平面を水平化させ、適切な相対前方誘導路角と歯冠内開口角の確立を行う。

MEAWの応用は、大臼歯部の整直と圧下によって干渉を取り除くと同時に咬合高径を増加させるために上下顎小臼歯部を積極的に挺出させ、High angle U級骨格と同じく上顎第一小臼歯に下顎の後方運動時のガイダンスを与えることによって下顎位を前方に適応させ、さらに咬合平面を水平化させるよう上顎大臼歯の挺出と下顎の大臼歯の整直を行い、咬合支持の安定を図るように調整を行う。 (図D-1、D-2、D-3、D-4、D-5)


図D-1

図D-2

図D-3


図D-4

図D-5

矯正治療の考え方

患者様の矯正相談と、当医院の矯正治療の考え方の概要の説明を行います。

レントゲン検査や最新コンピューターを駆使して、患者様の噛み合わせ、歯並び、顎機能の診査等をきめ細かく検査していきます。

1回目の検査のデーターにもとづき患者様に治療計画と治療上の問題点、治療費等を説明します。

1週間に2〜3回の来院により術前処置と口腔清掃の練習を行います。

治療のための矯正装置を装着し本格的な治療がスタートします。
動的矯正治療期間中は、1ヶ月に2度来院して頂きます。

治療経過が順調であるかどうかをチェックし、状況に応じた治療を進めます。

繰り返しレントゲン検査、あるいは顎機能診査等により再度診査を行い、治療経過が順調であるかどうかをチェックし、状況に応じた治療を進めます。

動的治療を終了するための最終チックを行い、保定装置の作成を行います。

すべての矯正装置を除去し保定装置を装着し動的矯正治療は終了します。
これから保定期間に入ります。

保定期間中は、2〜3ヶ月に1度の来院となります。
この期間に再度顎機能診査等を行い、保定装置の管理と咬合の管理を行います。

保定期間は約2年で、保定装置の管理と咬合の管理を行い、とくに咬合上の変化がなければ治療は終了します。